前ローマ教皇は聖職者の子ども虐待を知っていた、調査報告書が指摘
ベルリン(CNN) 前ローマ教皇のベネディクト16世(94)がドイツ・ミュンヘンで大司教を務めていた1977~82年に、子どもを虐待する聖職者について知りながら対応しなかったと指摘する調査報告書が20日、公表された。前教皇は長年、虐待を知らなかったと主張してきた。
教会から委託を受けた法律事務所が数十年に及ぶミュンヘン大司教区での性的虐待を調べ、報告書にまとめた。
同事務所の弁護士は前教皇が「事実について知らされていた」と指摘。4つの件で不適切な対応が認められ、そのうち2件は大司教在任中に起きた虐待に関するものだと述べた。両件とも、虐待を行った人物が宗教指導者としてケアを行う活動を続けていたという。
ベネディクト16世は報告書の発表を受けて、教会内部でのこうした虐待に「痛みと恥」を感じると表明。前教皇の秘書によると、1000ページ以上に及ぶ報告書を今後数日かけて目を通すという。
前教皇はこれまで、故意に虐待を隠していたとの指摘を否定。2013年には「深い驚きとともにこれを受け入れるのみで、こうした事案を隠そうとしたことは決してない」と述べている。
しかし、調査を行った弁護士は1980年1月15日のミュンヘンの教会指導者による会合の議事録のコピーを提示。この会合では「司祭X」と呼ばれる虐待を行った人物に関する決定が行われた。前教皇は会議への出席を否定しているが、弁護士は議事録に出席の記録があると指摘。前教皇の否定は「信じがたい」と述べた。