中国の人権活動家が置かれたもう一つの「バブル」、白熱する五輪の陰で
だが規制に直面しながら冬季五輪に至る数カ月間を過ごす反体制派が胡さん一人かと言えば、全くそんなことはない。同国で権利を訴える人々をサポートする市民ネットワーク「中国人権擁護者」でリサーチ等を担当するウィリアム・ニー氏は、冬季五輪前の段階で、人々の所在を把握しようとする公安、また著名な活動家や弁護士の自宅軟禁および拘束に関する報告例が増加傾向にあったと指摘。
「五輪は中国に対して、国際社会における同国の影響力を示す機会を与えた。中国は、うるさい活動家がその邪魔をして人権侵害について語るのを望んでいない」と話し、数多くの著名な権利の擁護者たちが、「公安によって常時監視されている」と付け加えた。
五輪期間中に自宅で軟禁されているという胡さんの主張、そして他の人権活動家もまた拘束されたり、監視を受けたりしていることについて、CNNは同国公安省にファックスでコメントを求めた。だが北京市当局へと差向けられると、複数回にわたって電話を掛けたものの、北京市政府が応答することはなかった。
胡さんは今回の五輪の開会式を、北京市内にある年老いた両親の家で観たという。ここは公安関係者が唯一外出先と認めた場所であり、胡さんによれば、もし反抗した場合には取り消すと彼らに脅された特権でもあるという。さらにまた、もし事態が悪化した場合、再び刑務所に収監される可能性もあると、胡さんは語る。だがそれでも、本人には伝えたいメッセージがある。
「今回の五輪は、開催国の人権問題にこれほどの注目が集まった史上唯一の大会かもしれない。これは、ウイグル族やチベット族、香港人、台湾人たち、そしてまた市民や人権活動家、中国本土に現在いる私たちのような反体制派など、中国の人権問題を探って見つけ出す本当に良い機会だ」「世界がこれを明確に認識し、人権についてもっと注意を払うことを願っている。冬季五輪の期間中だけでなく、民主主義、人権、そして中国の未来について注視し続けることを」