停電や断水続く、幼稚園や学校も砲撃 ウクライナ南部マリウポリで深まる人道危機
同市のバディム・ボイチェンコ市長は3日のテレグラムへの投稿で、ロシア軍が「人道的惨事」を引き起こしていると非難。「彼らは供給を断ち、電気、水道、暖房の修復を妨害している。鉄道にも損害を与えた。橋を破壊して列車を打ち砕き、女性や子どもやお年寄りがマリウポリから避難できないようにした」
「彼らは食料の供給を断ち、(第2次世界大戦当時の)レニングラードのように我々を封じ込めて、意図的に市民の生活を支えるインフラを7日間にわたって破壊している。私たちには照明も、水も、暖房もない」(ボイチェンコ市長)
市長によると、市は国際機関と連携して人道支援のための「緑の回廊」をつくりだそうと務め、電力供給を復旧させるための停戦を模索しているという。
ロシア軍は3日、「ドネツク人民共和国軍の部隊がマリウポリ市の包囲網を狭めた」と発表。一方で、民間人のいる地域は標的にしていないとする主張を繰り返した。
しかしCNNなどのメディア各社は、民間人が死傷し、民間施設に被害が出ている様子を集中的に伝えている。
2月27日にマリウポリ市内の病院で撮影された写真には、砲撃で負傷して蘇生措置を受ける少女と、取り乱した様子でそれを見守る女性が写っている。少女は助からなかった。
オルロフ副市長は、住宅や幼稚園、学校などの民間施設もロシアに砲撃されたと述べ、「全ての遺体を回収して数えることができないので、数は把握できない」とした。
ウクライナ国家親衛隊の広報はマリウポリについて、依然として困難な状況にあるとしながらも、戦いはまだ終わっていないと強調。「国家親衛隊の兵士は軍とともに同市の防衛を続ける」「ウクライナ軍は同市を見捨てず、占領軍を攻撃する」と話している。