ドイツ、米戦闘機F35Aを購入へ ウクライナ侵攻受け軍事費増額
(CNN) ドイツは16日までに、米国製のF35A戦闘機を35機購入すると発表した。ロシアのウクライナ侵攻を受けショルツ首相が国防費増額を表明して以降、ドイツが大規模な兵器購入計画を公表するのは初めて。
ドイツ政府がより積極的に欧州の防衛を担う方向にかじを切る中での購入決定となった。ショルツ氏はまた、天然ガスパイプライン計画「ノルドストリーム2」を停止するなど、ドイツとロシアの経済的な結びつきを制限するための大胆な措置も講じている。
F35はドイツの老朽化したトーネード戦闘機に取って代わることになる。トーネードはドイツ空軍の保有機で唯一、欧州での戦争勃発に備えてドイツ国内に保管されている米国の核爆弾を搭載できる。
F35の購入を決めたことで、ドイツ空軍はF35を既に運用しているか、あるいは購入の意向を示している他の北大西洋条約機構(NATO)加盟国および欧州の防衛パートナー国との連携を高めることが可能になる。
F35戦闘機には「A」「B」「C」の3タイプがあるが、核能力を搭載できるのはF35Aのみ。
トーネードは1980年代から現役の機種で、2030年までに段階的に退役する予定。米国の核兵器を搭載することはできるものの、現代戦においては時代遅れの選択肢だと長年考えられてきた。
英王立防衛安全保障研究所の研究員、ジャスティン・ブロンク氏は「トーネードは遷音速で低空飛行することで防空網侵入を図るように設計されている。それに比べF35はステルス能力や、空中および地上の脅威に対する比類のない状況認識能力、自前の電子戦能力を備えており、天と地の差がある」と説明する。
F35購入の背景には、ドイツがここ3週間で防衛戦略を大きく転換していることがある。第2次世界大戦後のドイツは軍事大国になることを拒んできたが、ここにきて、防衛費を国内総生産(GDP)比2%とするNATOの要求に従い国防費を大幅増額する方針を打ち出している。