ロシア軍がチェルノブイリ放射線監視施設を略奪、破壊 ウクライナ政府発表
(CNN) ウクライナ政府は23日、ロシア軍がチェルノブイリ原子力発電所近くにある研究施設を略奪し、破壊したと発表した。同施設は放射性廃棄物の監視のために使われていた。
チェルノブイリ原発はロシア軍が侵攻を開始した最初の1週間で制圧され、立ち入り禁止区域の安全基準が破られることへの不安が高まっていた。
ウクライナ政府機関によると、この研究施設は放射性廃棄物の管理体制を強化する一環として、欧州連合(EU)の資金拠出を受け、廃棄物サンプルや廃棄物処理に使われるパッケージングの現場分析などを行っていた。
ウクライナ政府はまた、放射性核種(高濃度の放射線を放出する不安定な原子核)のサンプルが同研究所から持ち出されたと伝え、ロシアが同サンプルを使って「文明世界ではなく自らを害する」ことを望むと述べている。
チェルノブイリはウクライナ北部のベラルーシとの国境近くにある。ウクライナ政府は22日、同発電所付近で複数の火災が発生したと述べ、恐らくはロシアの砲撃または放火によって引き起こされたとの見方を示していた。
ロシアに制圧された当時チェルノブイリ原発にいた職員は、3週間帰宅できない状態にあった。
今月初めには、数日間にわたって非常用ディーゼル発電機からの電力供給を強いられたが、破損した送電線の修理が行われ、再び国の電力網に接続されている。