ANALYSIS

極右「アゾフ大隊」、ウクライナの抵抗で存在感 ネオナチの過去がロシアの攻撃材料に

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ロシアのプーチン大統領(右)と右翼政党「国民連合」のマリーヌ・ルペン氏/MIKHAIL KLIMENTYEV/AFP via Getty Images

ロシアのプーチン大統領(右)と右翼政党「国民連合」のマリーヌ・ルペン氏/MIKHAIL KLIMENTYEV/AFP via Getty Images

外国人戦闘員

専門家によると、アゾフ運動は結成当初から、白人至上主義の動機を持つ外国人戦闘員を勧誘してきた。ロシアがウクライナに全面侵攻し、ゼレンスキー大統領が外国人義勇兵に戦闘参加を呼び掛けたことで、今回の戦争での過激化について懸念が持ち上がっている。

ニューヨークを拠点にする外交政策研究の非営利団体(NPO)、ソウファン・センターのコリン・P・クラーク上級研究員はCNNに対し、「私の懸念は欧州の極右をはじめとする人々がウクライナの戦域で実戦経験を積み、それを狭義の欧州でのテロ攻撃に利用することだ」と述べた。

米バズフィードは20年、ウクライナが米国を拠点とするネオナチ集団「アトムワッフェン師団」の構成員2人を国外退去処分にしたと報じた。2人はアゾフで実戦経験を積もうとしていたという。

C―REXの外国人戦闘員に関する専門家、レカウェク氏は、アゾフが今回の侵攻開始以降に勧誘できた外国人戦闘員は20人にとどまると指摘する。CNNはこうした数字を独自に検証できていない。

一方、ロシアでも当局に容認された超国家主義活動が盛んに行われている。

サンクトペテルブルクを拠点とする極右民兵組織「ロシア帝国運動(RIM)」は20年、白人至上主義団体として初めて米国務省から「特別指定国際テロリスト」に分類された。RIMはプーチン政権に反対する立場だが、ウクライナとの戦争ではロシア側を支援し、スタンフォード大学国際安全保障協力センター(CISAC)によると、親ロ派分離主義者に加わる戦闘員の訓練を行っている。

「ロシアは自国の国家主義者に対峙(たいじ)したことがない」とレカウェク氏は指摘。専門家からは、ロシアは欧州の極右の世界で一定の役割を果たしており、フランスのマリーヌ・ルペン氏やイタリアのマテオ・サルビーニ氏は侵攻前のプーチン大統領と近い関係にあったとの指摘も上がる。

3月に発表されたCEPの報告書によると、ウクライナ紛争での戦闘を目的に14年ごろウクライナに渡った「極右や国家主義的信条を持つ」欧米人数百人のうち、大半の過激派義勇兵は親ロ派分離主義者の側で戦ったとされる。

リッツマン氏は調査中、義勇兵を募集する親ロ派集団を複数発見。そこには「ナチスの記章を表示した過去を持つロシアの警備請負業者ワグネル・グループ」も含まれる。

数百万人の難民が押し寄せ、ウクライナの都市に甚大な被害が出る中、専門家の間では、ロシアはアゾフ運動のようなマイナーな存在に固執することで、今回の紛争を思想的な戦い、さらには国家存立にかかわる戦いと位置づけることが可能になっているとの指摘も出る。それがいかに現実からかけ離れた認識であってもだ。

本稿はCNNのタラ・ジョン、ティム・リスター両記者による分析記事です。

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