ハンガリー、ウクライナへ武器供与せず 首相報道官が明言
(CNN) ハンガリーのオルバン首相の報道官が8日、CNNの取材に答え、同国はロシアと戦うウクライナに対し武器を供与するつもりはないと明らかにした。
オルバン首相の国外向けの報道官を務めるコバチ・ゾルタン氏は「ハンガリーの立ち位置は揺るがない。今回の戦争に武器や兵士の供給という手段で加わるつもりはない」と語った。
ウクライナのゼレンスキー大統領は先月の演説で、オルバン首相を批判。ハンガリーに対し「どちらの側につくのか国として決める」よう告げていた。
一方のオルバン首相は3日の総選挙での大勝を受け、ゼレンスキー氏を攻撃。陣営にとって「戦わなくてはならなかった多くの敵」の一人だったと明言した。
コバチ報道官は、ウクライナへの人道支援は国として行うとしながらも、オルバン首相はゼレンスキー氏からの「通達」を拒否したのだと説明。そのうえで、主権国家として「何をするのも我が国の自由であり、他国に言われる通りにはならない。ゼレンスキー氏が代弁しているのはあくまでもウクライナの国益だと考える」と述べた。
ただウクライナで起きている悲劇は認識しているとし、同国から逃れてくる人々は手厚く処遇する方針を示唆。交戦中の両国を交渉のテーブルに着かせることにも全力を尽くす意向を表明した。
ハンガリーは首都ブダペストでの平和サミット(首脳会談)を提案しているが、ウクライナ外務省の報道官からはこれに対する冷ややかな見方が出ていた。
一方、ロシアのプーチン大統領は「非友好国」に対し、同国産天然ガスの代金をルーブル建てのみとするよう求めているが、ハンガリーはこれに応じる構えだ。
欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は、これをEUからの制裁に対する違反行為に当たるとの見方を表明。それでもコバチ報道官は、ロシアからのエネルギー購入を停止するのは「不可能」だと強調した。