プーチン氏に近いウクライナの政治家、「特別作戦」で拘束
(CNN) ウクライナのゼレンスキー大統領は12日、SNS「テレグラム」で、親ロシアのウクライナの政治家で富豪のビクトル・メドベドチュク氏を「特別作戦」で拘束したと発表した。
ゼレンスキー氏は、手錠姿で髪が乱れ、軍用作業服を着たメドベドチュク氏の写真を投稿し、「ウクライナ保安庁のおかげで特別作戦が実施された。よくやった。詳細は後ほど」と書き添えた。
ロシアのウクライナ侵攻以前、メドベドチュク氏にはウクライナ国内で反逆罪の疑惑がかかり、自宅軟禁状態にあった。侵攻後は数週間居場所が分からなかった。ロシアがゼレンスキー政権の転覆に成功した場合、傀儡(かいらい)政権を率いる人物としてロシアが同氏を指名するのではないかとの臆測も出ていた。
メドベドチュク氏は2014年に米国の制裁対象者となった。理由は「ウクライナの平和、安全保障、安定、主権、領土の一体性を脅かし、ウクライナの民主機構やプロセスを損なった」ことにあるとされる。
だが、富豪の実業家でもある同氏は、同年の東部ドンバス地方での紛争発生以降、プーチン氏との個人的つながりを生かしてロシア政府とウクライナ政府の仲介役を担った。
プーチン氏も19年に米映画監督オリバー・ストーン氏とのインタビューで、メドベドチュク氏の娘の洗礼時に自身が代父を務めたと発言。「非常に親密とまでは言わないが互いを知る仲」と述べ、メドベドチュク氏がウクライナのクチマ大統領の首席補佐官を務めていた頃の話だと語った。
メドベドチュク氏は旧ソ連時代、ウクライナの反体制派詩人バシル・ストゥス氏の国選弁護人を務めたことで名が知られた。ストゥス氏は85年にソ連の労働収容所で死亡した。
ウクライナ保安庁トップは声明で、メドベドチュク氏の拘束に言及した上で、「親ロシアの裏切り者やロシア情報機関の代理人に告ぐ。あなた方の犯罪に時効はない。我々が見つけられない隠れ場所は存在しない」と述べた。
CNNはメドベドチュク氏の弁護士にまだ接触できていない。