高齢男性、生きたまま遺体袋に詰められ安置所送り 上海の実態露呈
(CNN) 新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)が続いている中国・上海で、高齢男性が誤って死亡を宣告され、袋に入れられて遺体安置所へ搬送された。厳格な対策のために機能不全状態に陥った上海の実態が改めて浮き彫りになった。
目撃者が撮影した映像には、全身を防護服で覆った数人の作業員が、男性がまだ生きていることに気づいて動揺する様子が映っている。この映像は1日に投稿されて中国のSNSで出回り、恐怖や憤りの声が広がった。
作業員が車から運び出そうとした黄色い遺体袋からは、男性の頭がのぞいていた。男性は老人ホームの入所者だった。
撮影者は近くのビルからこの様子を見ていたらしく、「老人ホームはひどすぎる。生きている人を霊柩(れいきゅう)車に送って死んだと言った。葬儀会社はまだ動いていると言った。あまりに無責任だ」と語っていた。
中国大手SNSの微博(ウェイボー)には「今回は上海の問題が完全に露呈した」「これは意図的な殺人だ」といったコメントが書き込まれ、この男性は生きているのが発見されなければ埋葬または火葬されていたかもしれないと多くの人が指摘。「政府はお構いなしだ。上海はどうなっているんだ?」という書き込みもあった。
地元当局はこの事態について2日に声明を出し、高齢男性の容体は安定していると説明。職員3人と、老人ホームの所長が免職処分になったと発表した。
中国国営英字紙グローバル・タイムズによれば、関与した医師は免許を取り消され、捜査を受けている。
上海は3月上旬からコロナの症例数が急増し、同月31日以来、全市的なロックダウンが続いている。