父子3人で前線に、ウクライナのために戦う家族

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家族で従軍している(左から)パブロさん、ヤロスラフさん、ナザルさん/Sara Sidner/CNN

家族で従軍している(左から)パブロさん、ヤロスラフさん、ナザルさん/Sara Sidner/CNN

ウクライナ・ミコライウ近郊の前線(CNN) 狭い木立の中に掘られた浅い塹壕(ざんごう)に、男性が成人した息子2人と立っている。ウクライナ南部ミコライウ地区のこの地域で遮蔽(しゃへい)物となるのは樹木だけだ。

これは3人にとって初めての戦争で、兵士になるのも初めて経験だ。ロシアのプーチン大統領が自分たちの土地に侵攻した時、3人は家族で軍に出向き、戦闘参加の登録を行った。

ヤロスラフさんは59歳の祖父。息子の1人ナザルさん(34)には2人の息子がいて、もう1人の息子パブロさん(26)にも娘1人がいる。

3人は妻や子どもを後に残して前線に向かったが、配属先の大隊で一緒に過ごすことを希望した。

家族一丸となって家族のために戦うことで、自分たちの任務は「非常に簡単かつシンプルになっている」と、ヤロスラフさんは語る。

「私に言えるのは、我々が祖国を愛しているということ、最後の最後まで祖国のために戦うということだ」(ヤロスラフさん)

ただ3人は苦笑いを浮かべながら、家に残る家族、特に夫と息子全員を戦地に送り出したヤロスラフさんの妻にとっては、それほど簡単な状況ではないかもしれないと認めた。

「母親が心配しているのは間違いない」とナザルさん。「母親は不安がっているし、妻や子どもも心配している。それでも私たちはここに来て、自分たちの土地のために戦っている」

将校たちによると、ロシア軍はわずか1マイル(約1.6キロ)先に展開する。火砲の射程内に入るだけでなく、狙撃手に狙われる危険性もある距離だ。塹壕は黒海沿岸に近いミコライウ地区の農村地帯のただ中、ロシアが奪取を狙う領域の中にある。

部隊の副指揮官はやはりナザルという名前で、まだ37歳と若い。1回の攻撃で4人の兵士を失ったことがあり、それが今回の戦争で最悪の日になったと話す。

2014年、ナザル氏は正規軍で従軍し、ロシアを後ろ盾とする分離派主義者とウクライナ東部で戦った。今回の侵攻が始まると、同氏も入隊を申し込んだ。

「敵は卑劣にも夜闇に隠れて我が国や我々の家にやって来て、宣戦布告なく町や村を砲撃した」(ナザル氏)

「ロシア軍は首都キーウ(キエフ)に向けて進軍し、ブチャやイルピンといった郊外に入った。我々に他の選択肢はない。我々は自分たちの土地を守っているのであって、他人の家に乗り込んだわけではない。我々は他人の家に侵入するロシア人とは違い、家族や子ども、両親を守っている」(ナザル氏)

ナザル氏は現在ロシアの支配下にある地域や14年にロシアに併合されたクリミア半島を含め、ウクライナ全土を確保することが戦闘の目的だと説明する。

現状では、ナザル氏の指揮下の兵士は農地や低木地が広がる平地に面した木立に身を潜ませ、木々に隠れて未舗装の道路を車で移動するほかない。

村で多くの時間を過ごせば、ロシア兵に攻撃の理由を与えかねないと、ナザル氏は懸念を口にする。

アナトリーという名前の地元住民によると、前線に近いこうした村では既に砲撃が頻発している。

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