フランス政府、対ドローンレーザーの試作品を発注 パリ五輪に向け
ただ、五輪の際は世界各地から観光客が訪れる見通しで、人口密集地のパリでこうした強力な武器を使用することには安全上の懸念もある。
ジャン氏は「対ドローンレーザー計画で重要になるのがこの兵器の安全な運用だ」と指摘する。
ドローンを撃墜すべきか否かの判断は現場のチームに委ねられる。「判断に当たっては、損傷したドローンが落下して何らかの危険につながる可能性を考慮する」(ジャン氏)という。
レーザー兵器には正確さや運営コストの安さのほか、弾薬が不要という利点もある。グロ氏によると、米国や中国、フランス、英国などの軍事大国でレーザーの人気が向上していのはこれが一因だ。
HELMA―Pなどのレーザー兵器はドローン阻止により特化しており、伝統的な対ドローン装置が技術の発展に追いつくのに苦慮する中、そのギャップを埋めるものとなる。
「問題はドローンの自律性がどんどん高まり、任務の多くの場面において操縦者なしで飛行できてしまう点だ」(グロ氏)
このため、ドローンと操縦者の交信を電子妨害する従来の方法は時代遅れになる可能性がある。
現時点では対ドローンレーザー兵器はまだ弱点が多く、たとえば、悪天候下では正確性や効率性に影響が出る。この業界はまだ学習の途上にあるというのがグロ氏の見方だ。
24年にパリを訪れる観光客に対し、フランス軍事省はレーザー兵器は一般市民にはそこまで気にならないはずだとして安心するよう呼び掛けた。
「レーザーは実際には目に見えず、光が発射されるわけではないため、このシステムはほとんど人目につかない」とジャン氏。「騒音もほとんど出ない。実際は非常に控え目な兵器だ」としている。