仏セーヌ川にシロイルカ、搬送途中で安楽死処分に
(CNN) 北極海周辺に生息するシロイルカが1頭、フランスのセーヌ川に迷い込んで1週間以上立ち往生した。海へ放すため搬送する間に健康状態が悪化し、10日までに安楽死処分された。
経過を追っていた保護団体によると、このシロイルカは今月2日にパリの北西約70キロを流れるセーヌ川で見つかった。
えさを与えても食べようとせず、衰弱は進む一方だったという。
ロイター通信によると、80人を超えるチームが6時間かけて救出し、はしけに乗せて健康状態を調べた。専門家らは、体重の極端な減少がみられることに懸念を示した。
当局の発表によると、シロイルカを海へ運ぶ途中で呼吸などの状態が悪化し、酸欠状態に陥って苦しんでいることが分かった。専門家らは海に放しても助からないと判断し、安楽死処分を決めたという。
ロイター通信は、本来は1200キロほどあるはずの体重が約800キロまで落ちていたと伝えた。
シロイルカが生息する海としては、カナダ東部ケベック州のセントローレンス川河口などが知られている。フランスに最も近いのは、セーヌ川から約3000キロ離れたノルウェー領スバールバル諸島だ。
どうして迷い込んだのかは不明だが、世界自然保護基金(WWF)によれば、北極海の氷が減って船の航行や漁業活動が増え、シロイルカがすみにくくなっている影響も考えられる。