欧州最後のジャイアントパンダ、博物館収蔵の歯の化石から発見 ブルガリア
(CNN) 欧州の湿地帯に600万年前に生息していたジャイアントパンダのこれまで知られていなかった種が、ブルガリアの博物館が収蔵していた2本の歯の化石から発見された。
上の奥歯と犬歯の化石は1970年代後半に石炭の採掘地で発見され、ブルガリア国立自然史博物館が収蔵品として40年以上も保管していた。
研究結果を発表した同博物館の専門家は、この化石について「はっきりしない手書きのラベルが1枚あるだけだった」と説明。「これが未知のジャイアントパンダの化石だったと分かるまでには長い年月を要した」と述べている。
ジャイアントパンダの仲間はかつて、欧州からアジアにかけての幅広い地域に生息していた。
発表によると、今回発見された種は、これまでに知られている限りでは、欧州に生息していた最後のジャイアントパンダだった。
このパンダは今回の発見に貢献した同博物館の古生物学者イワン・ニコロフ氏にちなんで「アグリアルクトス・ニコロビ」と命名された。
体の大きさは現代のジャイアントパンダと同程度かやや小さく、主に植物を餌にしていたと思われる。ただ、竹と笹しか食べない現代のパンダに比べればバラエティーに富んでいた。歯の先端は竹をかみつぶせるほどは硬くなく、もっと軟らかい植物を食べていたらしい。
歯の化石が石炭の採掘地で発見されたことは、この古代のパンダが森林に覆われた湿地帯に生息していたことを物語る。絶滅したのは地中海沿岸が干上がり、周辺の環境が一変したためだったと研究チームは推測している。
研究結果は7月31日の学術誌に発表された。