ロシア人向け入国ビザ、申請受け付けをさらに削減 フィンランド
(CNN) ロシアと国境を接する北欧フィンランドは21日までに、ロシア国民に割り当てる入国ビザの申請の受け付けを今年9月1日から1日あたり500件に減らす方針を発表した。
ウクライナ侵攻を続けるロシアへの制裁策の一環。フィンランドは既に申請の受理件数を1000件に引き下げていたが、ウクライナの軍事衝突が終息する兆しがないなかでさらなる削減を決めた。
フィンランド外務省の領事業務部門の責任者によると、1日あたり500件のうち観光ビザに充てられるのは100件のみとした。
フィンランドはロシア国民にとって人気の旅行先で、同責任者によると2013年にフィンランド東部を越境した入国者1300万人のうちの75%をロシア人が占めた。ロシアによるウクライナ・クリミア半島の強制併合前の数字となっている。
ただ、19年以降になるとロシア人のビザ申請の不受理は10倍にも増え、この比率は現在約15%になっているとした。発給が承認されているロシア人向けのビザは現時点で1日約425件となっている。
フィンランドのマリン首相は記者会見で、侵攻を支持しない多くのロシア人がいることを踏まえ、同国人へのビザ規制は「善悪の問題ではない」ことは自覚していると説明。その上で、欧州内の多くの人間が「ロシア人は何ごともなかったかのように旅行している」との現状に不満を覚えていることに注意を向けた。
ロシア人の庶民が戦争を開始したわけではないとしながらも、「実質的に彼らが戦争を支持していることも同時に認識しなければならならない」とも主張。「ウクライナで住民を殺害しているロシアの国民が観光客として欧州や(自由な移動を認める)シェンゲン協定の加盟国に入国し、風景などを楽しめるのは間違い」とも断じた。
ロシア人に対する入国規制や禁止については欧州連合(EU)内でも議論が進んでおり、ドイツ、スウェーデン、フィンランド、ノルウェーやデンマークの指導者が協議の継続で足並みをそろえている。