軍事力見せつけた中国、今度は台湾の果物を標的に
中華経済研究院のロイ・リー副執行長によれば、台湾からの中国への輸出の半分以上は半導体で、農産物は貿易額全体の1%未満に過ぎない。このため、農産物や食品に対する制裁は実際の経済的な効果よりも象徴的な効果が大きいという。
リー氏によれば、中国は台湾にとって最大の貿易相手国だが、中国政府はこれまでのところ、より高価な台湾の工業分野を標的にはしていない。標的にすれば中国自身の経済にも影響が及ぶ可能性があるためだ。
それでも、台中関係が悪化すれば、中国政府は中国本土で営業している台湾企業を標的にして報復の度合いを高める可能性がある。
中国本土でも活動している台湾の企業グループ「遠東集団」は昨年、中国当局からさまざまな違反行為があったとして多額の罰金を科された。中国の国営メディアは遠東集団について台湾の与党・民主進歩党を財政的に支援していると批判し、徐旭東会長には台湾独立への反対を公言するよう求めた。
「台湾の中国への投資が調査されたり、中国の台湾に対する立場を支持するような発言を迫られたりすることが今後は増えると思う」(リー氏)
麻豆の農業従事者はすでに中国による経済的圧力の影響を感じている。
行政院農業委員会は財政的な打撃を緩和しようと、広告や配布のキャンペーンを通じて、かんきつ類の販売を台湾全土で増やすための計画を発表した。農業従事者には補助金を出すという。
しかし、ブンタンを生産しているリさんは楽観的にはなれない。ブンタンが貯蔵庫に積みあがるなか、もし禁輸が解除されない場合、来年は契約業者の30%を解雇しなければならなくなる可能性があると心配している。
リさんは「正直に言って、誰が台湾を訪問しようが関係ない。米中間の緊張はその2カ国で解決すべきだ。台湾の農業従事者が苦しむのはおかしいと思う」と語った。