軍事力見せつけた中国、今度は台湾の果物を標的に
台湾・麻豆(CNN) リ・メンハンさん一家は過去18年間、台湾南部・台南市近郊でブンタンを育ててきた。
台湾産のブンタンはみずみずしさと柔らかさで有名で、台湾海峡の両岸で高い人気を誇る。特に中国の伝統行事「中秋節」には欠かせないが、今年の中秋節は9月10日となっている。
リさんをはじめとする麻豆のブンタン生産者は通常、収穫の準備で8月と9月が最も忙しい。しかし、今年は予期せぬ難題に直面している。中国による禁輸だ。
ペロシ米下院議長の台湾訪問を受けて米中間の緊張が高まるなか、中国税関は8月3日、ブンタンを含む台湾産のかんきつ類と魚2種類について輸入禁止を発表した。過剰な殺虫剤と新型コロナウイルスの予防策を理由に挙げている。台湾は中国による禁輸について、国際的な通商の規範に反していると非難した。
中国政府は、ペロシ氏の訪台への対応として、台湾周辺で大規模な軍事演習も実施した。台湾当局は台湾への侵攻を模倣したものだとの見方を示した。中国共産党は、これまで一度も台湾を統治したことはないものの、台湾について自国の領土の一部とみなしている。台湾を支配下におくための武力の行使について選択肢から排除していない。
リさんはたいてい、収穫したブンタンの約60%を中国本土に輸出している。リさんは最初に禁輸について知ったときは「非常に驚いた」と振り返った。2000年代初めに家族でブンタンの生産を開始して以降で最も困難な状況だという。
ブンタンの収穫期は、リさんはたいてい、中国やアジアの買い手と取引をまとめるための電話で忙しい。40人の契約業者が一番良いブンタンを収穫して箱に入れ、国外に送り出す。
しかし今年は、中国の突然の禁輸によって計画に大きな狂いが生じた。
リさんは「禁輸について聞いたとき、本当かどうか調べるために、すぐに中国のビジネスパートナーに電話した。不意打ちだった。なぜなら、すでに契約を結んでいて、価格も決まり、出荷する日も確認済みだったから」と振り返る。
「しかし、今では全てが無駄になった。だから、国内市場でブンタンを販売する方法を見つけなければならない」(リさん)