危機迫る ウクライナ原発で作業員が大量脱出、安全性にリスク
「力を失った怒り」
発電所での勤務に危険性が高まっている状況に、残された作業員の精神的なプレッシャーは増している。原発に残るダリアさんによると、自分の部署では10~15%のスタッフが残っているが、日々「力を失った怒り」を感じながら過ごしているという。
ダリアさんは「精神的に既にとてもきつい」「いつ、どのように自分たちが脱出できるのかわからない」と語る。
ダリアさんはまた、原発の技術作業員は事故なく運転を継続するために「不可能なことをこなしている」状況であり、世界は「すべてがどれほど深刻で、どれほど危機に瀕(ひん)しているか全くわかっていない」とも述べた。
「人間の精神状態は事故につながりうる。我々のような発電所では、非難されるべきは設備ではない。重要なのは人間であり、その決断であり、シグナルや違反、損傷に対する対応だ」(ダリアさん)
IAEAは今、同原発の運転の安全性を評価するために、原発の緊急査察を受け入れるようにロシアと交渉している。だがダリアさんは、それが実現しても「何も変わらない」と考えている。
「私の唯一の望みはウクライナ軍だ」とダリアさんは語る。一方で、ロシア軍が来たら何をされるだろうかとの恐怖も抱いている。
「彼らは『お前たちを破壊する』と言うのが好きで、そのための命令も受けている。それが人々が逃げ出している理由だ」