ウクライナの医療制度、弱体化も崩壊せず WHO報告
(CNN) 世界保健機関(WHO)は24日、侵攻したロシア軍への抗戦が続くウクライナの医療制度に触れ、戦闘などで制度自体やウクライナ国民の存命に壊滅的な影響が出ているものの機能をどうにか維持している状況にあると報告した。
WHOのテドロス・アダノム事務局長は声明で、医療が最も必要とされる場所や時期において対応出来ていると説明。医療制度は弱体化しているものの崩壊してはいないと述べた。
WHOはウクライナ保健省に対し支援を続けており、障害が生じている医療サービスの再建などに努めているとした。この再建はウクライナ国民の健康保持だけでなく同国の強靱(きょうじん)性の保持や復興のために必要不可欠とも主張した。
ただ、「戦争の緊張下にある人々に対し最適な医療サービスを提供し得るシステムはない」との考えも示し、「我々がロシアに戦争終結を訴えるゆえんだ」とも強調した。
WHOによると、軍事侵攻が半年を経過したなかでウクライナ保健省などと協力しながら同国へ引き渡した重要な医療関連物資は1300立方トンに達し、その量は増え続けているともした。これら物資には自家発電機、救急車や酸素吸入器などが含まれる。
その上で医療施設などへの攻撃は減少しておらず、WHOは今年前半を過ぎた時点で473件の発生を確認したと報告。死者は少なくとも98人、負傷者は134人とした。