英新内閣の要職、史上初の「白人男性なし」
ロンドン大学クイーン・メアリー校の政治学教授で、保守党に関する本の著者であるティム・ベール氏は「下院、政党、政府が性別や民族の面でより多様になったことは本当に素晴らしい」と述べた。
「しかし、労働者階層の人々が政治から消えつつあるという事実は隠されており、それは政策や投票率の面に影響を及ぼしている」とも指摘した。
英国では2002年に初の黒人の閣僚が誕生した。10年前には要職に非白人の政治家はいなかった。そのため、トラス内閣の多様性は英政治の大転換を反映している。
「今世紀に入るまで黒人やアジア人の閣僚はいなかった。この10年間で驚くほど急速に変化した。ごく最近のこととはいえ、すでに新しい規範として確立された」とカトワラ氏はCNNに語った。
ブレーバマン氏は連続して3人目の少数派出身の内相となり、クワルテング氏は4人目の少数民族出身の財務相となった。
10〜16年に首相を務めた保守党のデービッド・キャメロン氏は、多文化国家と乖離(かいり)していると言われていた当時の保守党の近代化を優先させ、これがこうした変化の大きな要因だと言われている。キャメロン氏は党が地方候補を選出する際に女性や少数民族を候補者名簿に加えるよう主張した。
「キャメロン氏は決定的な影響を与えた。保守党が現代英国の一部となる意欲を示すための、彼の政治的プロジェクトだった」とカトワラ氏は話した。
保守党の多様化は政権を担ったこの12年間で進んだが、支持者の構成はそうではない。歴史的には労働党が非白人票で優勢を保っていて、19年の総選挙では黒人や他の少数派有権者の64%が労働党に投票した。保守党に投票したのは5人に1人だった。