「他人の野心のために死にたくない」 国境に押し寄せるロシア男性、動員令で窮状
(CNN) ロシアとカザフスタンの国境を隔てる検問所。23日夜、緊張感が漂う中で、車の長い行列ができていた。
ロシア中部エカテリンブルクから来たエンジニアのアンドレイ・アレクセーエフさん(27)は、プーチン大統領の動員令を受け、出国を目指す行列に並んだ大勢の男性の中の1人だった。
車はロシアとカザフスタンの国境検問所を通過する必要があり、それぞれ2時間ほどかかった。
21日朝、目が覚めてプーチン大統領の動員令のニュースを見たアレクセーエフさんは、出国を決意した。その夜、仲間と会って次の行動について話し合い、一切のリスクは避けようと決めて、計画もないままロシアを離れることにした。
プーチン大統領は24日、兵役に関する法律を成立させ、兵役逃れには禁錮10年以下、戦時の脱走に対しては同15年以下の罰則が定められた。
法改正に伴い、ロシア刑法には「動員、戒厳令、戦時」の概念が導入された。プーチン大統領は、大学生の徴兵を猶予する政令にも署名した。
国境では男性全員が、軍に所属しているかどうかなどを尋ねられたという。「それでも国境警備員はよく分かってくれていると感じた。しかし、別の検問所から国境を越えてカザフスタンに向かい、過酷な質問を浴びせられて通過に7時間かかった友人もいる」とアレクセーエフさんは話す。
プーチン大統領が成立させた動員令は、21日の演説で示唆したよりも広範な動員を可能にする内容のようだ。演説では、動員はしないとしていた当初の約束に反して、30万人の予備役を前線に送ると述べていた。しかし政令そのものでは、動員できる人数に上限は設けていない。