プーチン氏の動員令、訓練や装備品供給は無理 欧米の軍事分析
軍事専門家らはロシア軍が仮にウクライナ派遣に必要な装備、武器を得て、心構えも醸成したとしても30万人もの新規兵士への戦闘訓練は不可能ともみている。米国防総省の国防契約管理局でロシア軍の後方支援態勢を研究してきた元職員は、ロシアは現在、大規模な動員を実現できる余分な将校や施設の余裕はないと断言した。
ロシア軍の近代化を狙い2008年に始まった改革政策の影響で多くの兵站(へいたん)や指揮統制の機能が消失したとし、結果的に旧ソ連時代には可能だった大規模な徴集兵の迅速な訓練や必要な装備供給は無理になったとも説いた。
「シビリン」の欧州アジア担当責任者は、ロシア軍が予備役を集めて訓練し、配置先へ向かわせるには少なくとも3カ月の期間が必要と述べた。ウクライナはそのうち真冬に入るだろうとし、ロシアの予備役投入が戦場で極めて大きな効果をもたらす可能性は来春までない可能性があるとも述べた。その場合でもロシア軍の訓練や装備は貧弱な状態となっている事態も考えられるとした。
米陸軍の退役将官はCNNの取材に、ロシアを訪問した際に視察したロシア軍の訓練内容に触れ、救急医療の提供の遅さや指揮系統内における伝達事項の流れの緩慢さなどを見いだしたと指摘。国防契約管理局の元職員は、部分的な動員令で招集されウクライナへ送られるロシア人はプーチン氏の戦争の新たな犠牲者になるだけの恐れがあると述べた。