プーチン氏の動員令、訓練や装備品供給は無理 欧米の軍事分析
(CNN) 欧米の軍事アナリストらは29日までに、ロシアのプーチン大統領がウクライナ戦争での兵員補充のために打ち出した部分的な動員令に触れ、前線投入に必要な訓練の提供や兵器の供与を新たに招集した兵士にできる状況にはないとの見方を示した。
動員令ではロシアのショイグ国防相がテレビ局の取材に、最多で予備役30万人の規模になる可能性に触れていた。
英ロンドンを拠点にするリスク管理企業「シビリン」の欧州アジア担当責任者は、ロシア軍は現在、30万人の予備役を迅速かつ効果的に配置できる状況にはないと断定。ウクライナでの相当な規模の装備品の喪失を受け同国への正規軍の派遣でも十分な装備を与えることに苦慮していると述べた。
ウクライナ軍は最近、同国東部や南部で領土奪還作戦に踏み切り、広範な地域を取り戻していた。
米シンクタンク「戦争研究所」は今月、西側の専門家の情報やウクライナの諜報(ちょうほう)に基づき、ウクライナ軍の反攻でロシア軍の一部部隊は兵力の50〜90%と大量の装甲装備品を奪われたと分析。
公開諜報を追うサイト「オリックス」の軍事アナリストは「ロシア軍は現実的に多くの新規部隊に配るべく近代的な装備品を十分保持していない」とも断じた。
英軍で20年の兵歴を持つシビリンの最高経営責任者(CEO)は、ロシア軍は一部の火器で弾薬不足に直面し始め、戦場で失った兵器の修理や代替の兵器のねん出に必要な主要な部品を探し求めているとも指摘した。
戦車や装甲兵員輸送車など兵器の損失だけではなく、ウクライナ侵攻のロシア軍は自らの命を何のためにかけるのかの基本的な明確な意味づけも持っていないとも主張。プーチン氏は部分的な動員令にもかかわらず、戦争とは口にせず、ウクライナでの「特別軍事作戦」の呼称にこだわっていたともした。
ウクライナ軍兵士は母国防衛のために戦っていると自覚しているが、ロシア軍兵士の多くはウクライナへ派兵された理由も理解できない状況にあるとした。