ドイツ、半導体工場の中国企業への売却禁じる
ロンドン/ベルリン(CNN Business) ドイツ政府は13日までに、自動車業界向けの製品を扱う地元の半導体メーカー「エルモス・セミコンダクター」による中国企業への工場売却を安全保障の観点から禁止する決定を下した。
工場は独ドルトムントにあり、中国企業「サイ・マイクロエレクトロニクス」が北欧スウェーデンに持つ子会社「サイレックス」への売却を禁じた。ドイツ経済気候省は声明で「買収の禁止は我が国の公的秩序と安全を損なう恐れがあったため」と述べた。
サイレックスは昨年12月、工場を8500万ユーロで買収することでエルモス側と合意したと発表していた。
今回の独政府の決定を受けエルモスは声明で、両社は遺憾な判断と受け止めていると説明。ドイツ内での半導体製造を強化するであろう新たな技術移転になるはずだったとも指摘した。エルモスは法的な対抗措置も検討しているとした。
売却禁止の情報を受け、サイ・マイクロエレクトロニクスの株価は中国・深セン市で9%以上、落ち込んだ。
ドイツのハーベック経済気候相は記者会見で、重要なインフラ施設が絡みその技術の引き渡し先が欧州連合(EU)加盟国以外であった場合、企業売却については注意を払わなければならないとの立場を表明した。
特に欧州の半導体産業は「技術かつ経済的な主権維持」のための保護が必要と主張。今回の工場買収については重要なインフラ施設への中国側の投資がドイツが持つ知的財産の侵害につながり、中国の政治的な圧力にさらされかねないとの懸念が独当局にあったともした。