ゼレンスキー氏、解放されたヘルソン市を電撃訪問
(CNN) ウクライナのゼレンスキー大統領は14日、ロシア軍の占領から解放されたウクライナ南部ヘルソン市を電撃訪問した。ヘルソン州の州都ヘルソン市は何カ月にもわたりロシア軍の支配下にあった。捜査官がロシア軍支配時の戦争犯罪の証拠となり得るものの調査を開始した。
ゼレンスキー氏によれば、400件以上の戦争犯罪の証拠が見つかっているという。
ゼレンスキー氏は記者団に対し、ヘルソン市訪問は重要だったとし、現地にいるウクライナ軍の兵士や記者も同様の危険を負っていると語った。
ゼレンスキー氏は「ここにいて、ヘルソン市民について語り、人々を支援することが必要だと考えた。我々がただ発言するだけでなく、本当に戻ってきた、本当に我々の旗を掲げていると感じてもらうために」と述べた。
ロシア軍は9日にヘルソンからの撤退を指示。11日には、ロシア政府は、戦略的に重要なドニプロ川西岸からのロシア軍の撤退を発表した。ロシア軍は撤退により、ウクライナ侵攻初期から支配していた領土の多くを失い、事実上、ヘルソン市やその周辺を明け渡した。
ウクライナ軍は12日にヘルソン市に入り、住民から歓迎を受けた。ゼレンスキー氏によれば、ヘルソンにはまだ7万から8万の人々が暮らしている。
ヘルソン市からの撤退は、ロシアのプーチン大統領の戦争遂行にとって大きな打撃となった。ヘルソン市はロシアが2月にウクライナへの侵攻を開始して以降、ロシア軍が実効支配した唯一の州都だった。
ロシア軍は撤退したものの、ヘルソン市は今や戦争の最前線に位置している。
ロシア軍はドニプロ川の反対岸のわずか数キロ離れた位置にいる。ウクライナ軍は14日、ロシア軍がヘルソンに対する空中からの偵察の回数を増やしていると明らかにした。将来の空爆の前兆の可能性があるという。
ウクライナ警察は12日、最も喫緊の課題はロシア軍が残していった地雷や爆発物だと述べた。
市内での生活も難しい状況となっている。住民は電気もインターネットも使えず、食料や飲料水も供給が不足している。当局によれば、最初の支援物資は14日に到着し始めた。
近郊のダムを含む重要なインフラも損傷しており、復旧が必要となっている。
ヘルソン州軍政トップのヤヌシェビッチ氏はヘルソン市に電力を供給する送電線4本が全て破壊されたと明らかにした。問題解決に向けて日夜作業を行っているという。