ソレダルの戦況、「危機的」とウクライナ軍兵士 死者数把握できず
(CNN) ウクライナ東部の町ソレダルで戦う同国の兵士1人は11日までにCNNの取材に答え、戦況について「危機的」とした上で、死者があまりに多く「誰も人数を数えていない」のが実情だと明かした。
この兵士が所属する第46独立空中強襲旅団は、ウクライナ軍の先頭に立ってソレダルを防衛。ロシア軍と傭兵(ようへい)会社「ワグネル」による大規模な攻撃に直面している。
CNNは安全上の理由から、この兵士の身元を特定していない。
「戦況は危機的。困難だ。我が軍は最後まで持ちこたえる」と、兵士は語った。
兵士によると、戦場にある建物は連日、占拠する軍が入れ替わる。また部隊は増加する死者数を把握できていないという。
「死傷者が何人いるのか、誰にも答えられない。誰も確信を持てないからだ。誰一人として」「司令部にもどこにも、把握している人間はいない。陣地は常に取られ、また取り返される。今日我が軍のものだった建物が、翌日にはワグネルの手に落ちる」
「ソレダルでは、誰も死者を数えていない」と、兵士は付け加えた。
また10日夜の時点で、町のどれほどがロシア軍に占領されているかは不明だという。両軍の具体的な位置や移動について確実に把握している者はおらず、どちらが抑えているのか曖昧(あいまい)な地域が広範囲に存在するとした上で、そうした地域ではどちらが奪取を主張しても「中身のない宣伝に過ぎない」とこの兵士は指摘する。
ウクライナ軍はソレダルで多くの兵士を失っているが戦闘は続いており、代わりの兵士も送られてくる。上記の兵士は「我々の部隊の兵員は半分近く入れ替わった。(新しい兵員が到着しても)互いのコールサインを覚える暇さえない」と話した。
この兵士は、ウクライナ軍の指導部が最終的にはソレダルでの戦闘を放棄するとみている。その上で、なぜ現時点でそれを実行していないのか疑問を呈した。
「町は捨てられると誰もが分かっている。全員がこのことを理解している」「(戦闘に)何の意味があるのか知りたい。今日、明日にでもここを捨てるなら、なぜ死ななくてはならないのか」
第46独立空中強襲旅団は10日、SNSのテレグラムでソレダルの戦況について「極めて困難だが対処可能」と述べた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は毎晩行っている演説で、同旅団の兵士らに感謝を表明。「勇気と不動の覚悟でソレダルを守っている」と称賛した。