ウクライナ軍、旧ソ連製戦車で戦線維持 西側からの増援控え
西側の戦車があれば、ウクライナ軍は歩兵隊や砲兵隊の援護の下、諸兵科連合部隊として作戦を実行に移すことも可能になる。チャレンジャーは給油なしで、1日最長300マイル(約482キロメートル)の走行が可能だ。
戦争の流れを変えるためには、西側から400~600両の戦車が必要だとウクライナ当局者はCNNに語っている。
デ・ブレトン・ゴードン氏によれば、300両の戦車は1師団に相当する規模で、「ウクライナ軍は広範囲におよぶ壊滅的な攻撃を行って、停滞したロシア軍を一掃できるだろう。その上、ウクライナがすでに所有する(ロシア製の戦車)1000両前後も助けになる」という。
戦車に理想的な地形
ウクライナ南部および東部の大半は、西側の近代戦車と装甲戦闘車両を組み合わせて反撃を仕かけるには理想的な地形だ。
西側の戦車があれば、続々と投入されるワグネルの戦闘員の脅威にも対処できる。レオパルト2、エイブラムス、チャレンジャーはいずれも重機関銃を搭載しており、開けた場所で歩兵隊を制圧することが可能だ。
ウクライナでは弾薬が異様なペースで使用されていることを考えると、レオパルト2には別の利点もある。レオパルトで使用される120ミリ口径の砲弾は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の軍隊で広く使われている点だ。
NATO連合軍の最高司令官を務めるクリストファー・カボリ米陸軍大将は「結局のところ、理論上、戦車は火力と機動性、防護のバランスに尽きる」と述べた。西側の戦車はいずれの点でもロシア製の戦車を上回る。
ウクライナが旧ソ連時代の戦車を使用する利点のひとつは、なじみ深さだ。
「事を左右するのは戦車ではなく、兵士だ」と、デイビッドさんはT64型戦車にもたれながら言った。「経験豊富な兵士はどんな状況にも対応できる。数ある戦車の中でも、私はT72型、T80型、T90型がお気に入りだ。兵士はみなどんな持ち場もカバーできる。仮に私が負傷したら、修理工が指揮官を務めることもできる」
デイビッドさんによれば、戦車兵は自らT64を修理している。「戦闘中に銃が故障しても、十分に経験を積んでいるので修理できる」
そうした戦闘任務は、西側の戦車の大群が春に到着するのを待たずして、数週間のうちにも次々と増えそうだ。