パリの街頭に生活ごみが堆積、年金改革反対デモの影響
パリ(CNN) フランス全土で起きた政府の年金制度改革案に反対する大規模なストライキの影響で、パリの多くの街頭に未回収の生活ごみが堆積(たいせき)する異様な光景が広がっている。
パリ市長室の報道担当者によると、たまっているごみの量は11日時点で約4400トン。名所のエッフェル塔や凱旋門のすぐ近くにも積もり重なっている。
ストでごみ焼却炉の運用が止まり、回収用のトラックも集めたごみを持ち込める場所がないため市内の多くで活動できない状態が続く。
ごみのたまり具合は市内全域で一様になっているわけではない。市が回収を担っているのは市内に20ある行政区のうちの半分。残りの10行政区では民間業者と契約している。
ゴミの取り込みなど市の行政サービスの提供はストのあおりで今月7日以降から停滞し始めていた。航空便や列車運行が麻痺(まひ)し、学校も閉校し、数千人規模が停電に襲われもした。ストの影響はパリで最も深刻で、小学校教師の約6割が職場放棄に訴えていた。
政府は欧州で最も気前が良いともされる年金制度改革の一環として、大半の労働者の公式の定年年齢を引き上げることを提案。年金制度の財政基盤の安定化を狙ったものだが、これに反発する大規模なデモは今年1月19日以降、全土で定期的に起きていた。
放置され続けている大量のごみは市民らの間に公衆衛生上の懸念も生じさせている。第17行政区の区長は地元テレビとの会見で、イダルゴ市長に事態を改善させるため民間業者を雇うことを求めたと明かした。ネズミなどの増加やパリのイメージ低下への危惧も示した。