ウクライナ旅客機撃墜でイラン司令官に禁錮13年、「偽りの判決」と遺族批判
(CNN) イランの首都テヘランの裁判所は16日、2020年にウクライナ航空の旅客機が撃墜された事件に関与したとして、軍の司令官など10人に有罪判決を言い渡した。政府系のメヘルニュースが伝えた。
これに対して犠牲者の遺族は「偽りの判決」と批判、イランは最高責任者を起訴していないと訴えている。
判決では同機を撃墜した対空ミサイル防衛システム「TOR M1」の司令官に禁錮13年を言い渡した。
2020年1月8日、テヘランの空港を出発してウクライナの首都キーウに向かっていたウクライナ航空752便(ボーイング737型機)は、離陸直後に対空ミサイルで撃墜され、搭乗者176人全員が死亡した。
イラン当局は数日後、イスラム革命防衛隊航空宇宙軍が誤って同機を撃墜したことを認め、対空防衛システムを操作していた担当者が、誤って同機を巡航ミサイルと判断したことによる過ちだったと説明した。
メヘルニュースによると、裁判所は16日の判決言い渡しの中で、旅客機は「人為ミス」によって撃墜されたと指摘。司令官は「司令部などの命令に反し」、民間機に向かってミサイルを2回発射したと認定した。
ほかにも対空防衛の担当だった被告が有罪を言い渡された。
被害者の遺族でつくる団体は16日に声明を発表し、「イスラム政権の裁判所を正当な裁判所とは認めない」と強調。裁判所は事件の「主犯」の罪を問わず、代わって「階級の低い士官を経歴も身元も完全に隠した状態で」起訴したと主張した。
裁判は非公開で行われ、遺族は傍聴できなかった。遺族団体は、まだ裁判は終わっていないと訴え、国際司法裁判所(ICJ)による審理を求めている。