著名人や団体を糾弾する「キャンセルカルチャー」、シンガポールが法規制を検討
(CNN) 正しいか間違っているかを問わず、社会的に不適切とみなした言動を理由に特定の著名人や企業、団体をネット上でやり玉に挙げる「キャンセルカルチャー」は、世論を分断する論議の種となっている。
キャンセルカルチャーは有力者の責任を追及する社会正義の手段とみなす意見がある一方で、乱用・悪用されて暴民政治の一形態と化しているとの意見もある。
シンガポール政府が、このキャンセルカルチャー対策の法律を検討していることを明らかにした。専門家によると、キャンセルカルチャーを規制する法律が制定されれば世界初となる。人権活動家は、言論の自由を抑圧する目的で利用されかねないとの懸念を強めている。
シンガポールでは同性愛行為が合法化されたことを受け、同性愛の権利支持者と宗教色の強い右派の間で文化戦争が起こりつつある。
当局によると、保守系のキリスト教関係者から、自分たちの見解をめぐってネット上で発言を強める集団からやり玉に挙げられる恐れがあるとの「フィードバック」を受け、関連する既存の法律や規制を調査しているという。
「双方とも攻撃を恐れることなく自分たちの見解を表明する自由がなければならない」。シャンムガム法相は昨年8月、国営メディアのインタビューでそう語っていた。
「宗教人が自分たちの見解や、LGBTの見解との不一致を理由に排斥される文化は容認できない。その逆も同じだ」(シャンムガム法相)
「何もせずにじっとしていることはできない。ヘイトスピーチと言論の自由との間の正しい境界に目を向ける必要がある。公の発言が弱体化すれば、社会全体に影響が広がる可能性がある。そのためこれに関する対策を計画している」(シャンムガム法相)