欧州を襲った記録的な猛暑と干ばつ、さらに激しさ増す可能性も
(CNN) 世界気象機関(WMO)と欧州連合(EU)のコペルニクス気候変動サービスが共同でまとめた報告書によると、2022年の夏は欧州の観測史上、最高の暑さを記録し、超過死亡は1万6000人を超えた。
「残念ながら、これは一時的な出来事とも、気候上の突発的な現象とも考えられない」。コペルニクス気候変動サービスのカルロ・ブオンテンポ氏はそう指摘し、「こうした出来事は、欧州全土で極端な熱ストレスの発生頻度や激しさを増大させるパターンの一部」と解説する。
22年は英国、スペイン、スイス、イタリアなど数カ国で、観測史上最高の暑さを記録した。
報告書によると、欧州は世界の中で最も急速に温暖化が進んでおり、過去40年の温暖化のペースは世界平均の2倍に上る。
猛暑だけでなく極端な干ばつにも見舞われ、農業や水の供給にも大きな影響が出た。多くの地域で昨年の降水量は極めて少なく、フランスの1月~9月にかけての降水量は観測史上最低を記録。スペインでは貯水量が容量の約40%にまで減った。
干ばつと猛暑の影響で激しい森林火災が相次ぎ、22年の焼失面積は観測史上2番目になった。特に欧州中部と地中海沿岸部の火災は広大な範囲に及んだ。
アルプスの氷河の消失量は過去最高を記録した。雪が少なく気温が高かったことに加え、サハラ砂漠から運ばれたサハラダストの影響で氷河が熱を吸収しやすくなり、融解ペースが加速した。
海面温度は異常に高く、北太平洋の平均水面温度は観測史上最高だった。
エルニーニョの発生を受け、23年はさらに極端な天候になる可能性もあると専門家の多くは予想する。
一方で希望が持てる兆候もある。昨年の再生可能エネルギーによる発電量は、初めて化石ガスの発電量を上回った。