ロシア、ワグネル反乱への治安対策遅れで内部の弱点露呈 米戦争研究所
(CNN) 米国のシンクタンク「戦争研究所」は29日までに、ロシアの民間軍事企業「ワグネル」の最近の武装蜂起に対する同国大統領府の対応について「効果的かつ迅速な治安対策」の発動に「手間取っていた」との分析結果を明らかにした。
声明で、「治安維持対策での内部的な弱み」を露呈したとし、不意打ちのような展開をたどった反乱行動やウクライナの戦闘で被った甚大な損失が要因の可能性があるとみた。
「仮にワグネルの創始者プリゴジン氏が配下の部隊に首都モスクワへの進軍を命じていたのなら、同市郊外に実際に到達していただろう」とも述べた。
同シンクタンクは、内務省軍などから構成し、創設の目的がロシア政府への内部的な脅威の封じ込めと位置づけられる国家親衛隊による今回のワグネルの動きへの反応に言及。
ワグネルがロシア南部ロストフ州の州都ロストフナドヌーにある重要な軍事施設を押さえ、ロシア軍用機を破壊した際も対処出来なかったことは注意を引きつけると指摘した。
ロシア大統領府に忠誠を誓うべき身内の治安機関がロストフナドヌーにあるロシア軍南部軍管区の本部を制圧し、モスクワへ向かう動きを見せる民間の軍事組織を阻止出来なかったことになると結論づけた。
ワグネルの反乱は結局、プリゴジン氏の撤収命令で短期に決着したが、米陸軍の退役少佐はワグネル戦闘員の今後の身の処し方については多くの問題点があると説明。
彼らは独立した戦闘員派遣の企業所属であり、配給物資などにも恵まれ、服装も違うと話した。マイク・ライアンズ退役少佐は、ロシア軍にたやすく組み込まれ、前線に送り返されるとは思えないとし、問題が出てくるだろうと予想した。
一部は離反し、一部はウクライナ軍へ走り情報を提供するだろうともし、これらの戦闘員はロシアや任務ではなくプリゴジン氏に忠実だったとも説いた。ワグネル戦闘員の今後について、現段階では回答が見つからない多くの疑問点があるとも続けた。
ロシアのペスコフ大統領報道官は24日、モスクワへの移動に参加したワグネル戦闘員は法的な処罰を受けない方針を表明。彼らのウクライナの前線での英雄的行為への敬意を常に抱いているとも述べていた。