衣類や靴の修理に補助金支給へ、環境対策視野に 仏政府
パリ/ロンドン(CNN) フランス政府は16日までに、廃棄物の削減や繊維産業による地球温暖化にもつながり得る環境汚染を食い止めるため、衣類や靴の修理に補助金を支給する事業を今年10月から開始する方針を明らかにした。
政府の環境政策担当幹部によると、補助金は修理の複雑さなどの程度によって6~25ユーロ(約936〜約3900円)の範囲となる。縫い直しなど簡単な作業は6ユーロ、靴の底の張り替えは25ユーロなどとなる。
同幹部は記者会見で、靴やファッション製品を使える寿命を長く延ばし、消費する資源の最小化などを図る経済構造の創出が目的と強調。「フランス政府は商品の第二の人生の誕生を信じている」とも主張した。
幹部によると、繊維産業は2050年までに、世界規模の温室効果ガスの排出量の4分の1の発生源となる流れに乗っている。業種別では上から2番目となっている。
フランスの環境省が民間団体「Refashion」のデータを引用した報告によると、仏国内で2022年に市場に出された衣類、靴や布類は約33億点。このうち衣類の約70万トンが消費者に毎年捨てられ、3分の2が埋め立て地に運ばれるごみと化しているという。
政府は補助金支給の制度開始を同民間団体に要請。ただ、この事業の運営資金を政府が担うわけではない。
衣類の仕立屋、衣類のブランド企業や修繕業者はRefashionを通じてこの制度に無料で加わることが可能。同民間団体は補助金支払いの対象となる製品販売によって少額の「環境保護の貢献」となる手数料を徴収。
消費者にとっては補助金制度により衣類などの値段が低めとなる。Refashionはその後、制度に賛同した企業に対し15日間内に対象の補助金を払い戻す仕組みとなっている。
今回の補助金事業は、仏政府が導入済みの冷蔵庫や洗濯機など白物家電製品の修理補助制度を踏まえたものになっている。