ポーランド首相、ワグネルが国境地帯に接近と警告
(CNN) ポーランドのモラビエツキ首相は29日、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の戦闘員100人あまりが、隣国ベラルーシからポーランド・リトアニア国境の「スバウキ回廊」へ向かっているとの情報が入ったと述べ、戦闘員らが移民を装って越境してくる恐れもあると警告した。
ワグネルが先月ロシアで反乱を起こした後、同国と同盟関係にあるベラルーシが数千人の戦闘員を迎え入れたとされる。モラビエツキ氏によると、このうち100人あまりが現在、スバウキ回廊に近いベラルーシ側の町グロドノに接近しているとみられる。
モラビエツキ氏は、ベラルーシがこれまで、ポーランドの国境警備隊を圧迫するために大量の移民を送り込んできたと、改めて非難。ワグネル戦闘員の動きも、国境を動揺させようとする策略のひとつだと断じた。
同氏によると、ベラルーシのルカシェンコ大統領とロシアのプーチン大統領が共謀し、今年すでに約1万6000人の不法移民をポーランドへ越境させようとした。ワグネル戦闘員のグループは今後、ベラルーシの国境警備隊員になりすまして不法移民をポーランドへ入国させたり、移民を装ってポーランド側への侵入を図ったりする恐れがあるという。
ポーランドとリトアニアとの国境地帯「スバウキ回廊」/CNN/Natalie Croker
グロドノ付近の戦闘員についてワグネルからのコメントはなく、移動の意図は明らかでない。
スバウキ回廊は全長100キロほどだが、ロシアの飛び地カリーニングラードとベラルーシを結ぶ回廊であると同時に、リトアニアなどのバルト3国とほかの欧州連合(EU)諸国をつなぐ唯一の陸路が通過するラインでもあり、すべての周辺国にとって戦略的に重要な意味を持つ。