国境の川で2人死亡 メキシコ大統領、移民阻止のブイを「非人道的」と非難
米司法省によると、問題のブイはメキシコからの移民流入を防ぐため、連邦政府の許可なく7月に設置された。司法省はこのブイの使用をめぐり、テキサス州を提訴している。
メキシコ政府もアボット知事が設置したブイをめぐり、米政府に抗議していた。メキシコ外相はこのブイについて、米国とメキシコの協定に違反するだけでなく、ブイのうち305メートルが「メキシコの領土」上にあるとしている。
ロペス・オブラドール大統領は3日、このブイがメキシコの「主権と人権」を侵害していると強調し、ブイの撤去を求めていることを明らかにした。死亡した2人については当局が国籍を特定する作業を進めているとした。
不法移民に対するテキサス州の扱いについては、米国内でも批判が強まっている。バイデン政権当局者は、米国境警備隊の業務に支障をきたし、移民を危険にさらすアボット知事の措置に対して懸念を示していた。
CNNが先月入手したテキサス州警察医の内部メールによると、同州イーグルパスの衛生兵は人々を水に押し戻すよう指示されており、「ブイから離れた川のもっと危険な場所を渡ろうとして」もがく男の子や、ワイヤのない場所で川を渡ろうとして溺れた母親と子ども2人を目撃していた。
同メールにはさらに、「リオグランデの抑止ブイに張られたレーザーワイヤから自分の子どもを助けようとして足に大きな裂傷をった男性」の記述もあった。
保護団体によると、米国の州や連邦政府が相次ぐ抑止策を講じる中で、危険を冒して不法入国しようとする移民がここ数年で増えており、中には命を落とす人もいる。6月にはテキサス州でトレーラートラックの車内から数十人の遺体が見つかっていた。