動静不明の中国国防相、臆測飛び交う 取り調べ中との報道も
香港(CNN) 中国の李尚福国防相が2週間以上公の場に姿を現さないことについて、様々な臆測が飛び交っている。外務省の報道官は15日の定例会見で李氏の状況を問われたものの「関知していない」と、具体的な回答を控えた。
李氏は今年3月に国防相に就任した。中国共産党上層部では今夏、根拠が不透明な一連の人事の刷新が行われ、同氏の今後に関する風評も広まっていた。
英紙フィナンシャル・タイムズが14日、米当局者を引用して報じたところによると、米政府は李氏が取り調べを受けているとみている。米紙ウォールストリート・ジャーナルも先週、李氏が事情聴取のため当局に連行されたと伝えた。中国政府の意思決定機関に近い人物の言葉を引用した。いずれの報道も取り調べの理由には言及していない。
中国では秦剛(チンカン)前外相も、公の場から説明なく1カ月姿を消し、7月下旬に外相を解任されている。
わずか7カ月で外相の座を降りた秦氏は、国務院(内閣に相当)を構成する国務委員の役職を現在も保持する。李氏も同様に国務委員のポストに就いている。
中国政府と軍のウェブサイトでは、李氏は依然として国防相、国務委員、中央軍事委員会のメンバーとして記載されている。
7月には中国人民解放軍が、戦略ミサイル部隊「ロケット軍」のトップ2人を突然入れ替える異例の人事を行った。ロケット軍は核兵器や弾道ミサイルを管理する中国軍のエリート部門。トップを外れた司令官はそれ以前、数カ月にわたり公の場に姿を見せていなかった。
米国のラーム・エマニュエル駐日大使は先週、SNSのX(旧ツイッター)への投稿でこれらの件に言及。中国政府の閣僚の動向は今や、アガサ・クリスティーの小説「そして誰もいなくなった」を彷彿(ほうふつ)させると指摘した。