米比が軍事演習開始、日英豪加も参加 中国の圧力増大背景に
(CNN) 米軍とフィリピン軍などは5日までに、比北部ルソン島南部の太平洋側で合同軍事演習「サマ・サマ2023」を開始した。今月13日までの予定。
同演習は今回で7回目。オーストラリア、カナダ、フランス、日本、英国にマレーシアも今回参加しており、米海軍の報道発表文によると規模としては過去最大となっている。
ルソン島はフィリピンを含めた沿岸国・地域の領有権論争が長引く南シナ海に近い。南シナ海スプラトリー(南沙)諸島のフィリピンが主権を唱える環礁近くでは最近、中国海警局の船舶らによる比補給船への航行妨害や放水銃使用などが起き、緊張が新たに高まっている。
今回の演習には、対潜作戦、海上戦闘、対空戦や上陸戦などの訓練が盛り込まれている。「サマ・サマ」は比タガログ語で「一緒に」を意味する。参加の将兵数は1800人以上。米比に加え、英国や日本、カナダは艦船も派遣している。
国営フィリピン通信によると、同国海軍のアダチ司令官は首都マニラで2日に開かれた演習開始に伴う式典で、サマ・サマの実施は地域防衛や国境を越えた犯罪への対策も含む一連の脅威に対峙(たいじ)する助けになると主張した。
フィリピンのテオドロ国防相はCNNとの最近の会見で、中国の南シナ海での振る舞いは「学校の校庭でのいじめっ子」に等しいとも酷評。「昼食代を奪うような次元の話ではなく、弁当や椅子、学校への通学自体も盗むような話だ」とこき下ろした。
一方、中国外務省はフィリピンはスプラトリー諸島における緊張の高まりを扇動していると非難。フィリピンの船舶は中国の領土に侵入しているとも断じている。