水も電気も断たれたガザ住民、イスラエルの封鎖で人道危機深刻化
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は、学校83校に仮設の避難所を開設した。しかし9日までに13万7000人以上が身を寄せて、既に定員の90%に達しているという。
南側のイスラエルの街区のように、市民を空爆から守るための防空施設はガザ地区には存在しない。
ガザは360平方キロほどの面積に約200万人が暮らす、世界でも有数の人口密集地。UNRWAによると、住民の半数以上が食糧不安の状態にあり、貧困水準以下の生活を送っている。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は9日、ガザの人道状況は今回の衝突が始まる以前から既に「極めて悲惨」だったと述べ、「今やその状況が急激に悪化していくばかりだ」と危機感を示した。
もしイスラエルが地上侵攻した場合、ガザの人道危機は急激に深刻化する恐れがある。
ガザとイスラエルを結ぶ検問所は2カ所とも封鎖された。物資や食料、燃料などはラファ検問所を通ってエジプトからもガザに届けられていたが、パレスチナ内務省報道官は10日、ラファ検問所が攻撃されたと語った。
ハマスとイスラエルの過去の衝突では、エジプトがラファ検問所経由で援助物資を通過させ、治療が必要な負傷者の脱出を支援していた。
マンション内でケージに入れられた鳥。マンションは砲撃を受けたにもかかわらず生き延びていた=10日、ガザ地区南部/Said Khatib/AFP via Getty Images
ナディーンさん一家の窮状は続いている。
「私たちには水がない。水は昨日(9日)断たれた。電気もインターネットもほとんど使えず、ますます危険になるばかりで家を出て食べ物を買いに行くこともできない」。一家は航空機の音が聞こえるたびに、テーブルの下に隠れているという。