イスラエル軍、レバノンのヒズボラ攻撃 衝突拡大の懸念も
(CNN) イスラエル軍は19日未明、レバノンに拠点を築くイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」の拠点などに攻撃を加えているとの声明を発表した。
レバノン南部にいるCNN取材団は爆発音を確認した。ヒズボラは18日、レバノンとイスラエルの国境線周辺にあるイスラエル軍の陣地を複数回攻撃したと宣言していた。
イスラエル軍のコンリクス報道担当者(中佐)は19日、CNNの取材に、ヒズボラはここ数日間、イスラエルとの衝突を大幅に拡大させていると主張。イスラエル軍部隊や民間人を標的にレバノン内から多数の対戦車ミサイルを撃ち込んでおり、いずれも死傷者が出ていると明かした。
イスラエル領内への潜入工作も試みているが、封じ込んでいるとした。「ヒズボラが今やっていることはかかわる筋合いではない紛争にレバノンを引きずり込もうとしていることだ」と警告した。
今月になってのイスラエル軍とヒズボラとの対立の激化は、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」とイスラエル軍の交戦に続き、地域紛争を拡大させるとの危惧が生じてもいる。
ヒズボラはイランの支援を受け、レバノン南部を勢力圏とする。シリアでもイランの精鋭部隊、革命防衛隊と足並みをそろえて活動。イスラエルはシリア南部のゴラン高原を占領し、親イランの武装組織とにらみ合ってもいる。
ヒズボラは18日、誘導ミサイル、機関銃や57ミリ迫撃砲などを動員してイスラエル軍陣地を6回攻撃したと発表。マナラ地区の監視所やエルラヘブ地区の戦車を襲ったともし、他の4地区にある陣地も攻撃したと述べた。これらの場所は両国国境線の東側や西側となっている。
ヒズボラの戦闘員3人が死亡したと認めながらも、イスラエル軍部隊に死傷者が出たとも話した。イスラエル軍はこれを確認していない。
一方、イスラエル軍は18日の声明で、レバノン領内からロケット弾9発がイスラエル北部へ撃ち込まれたと発表。このうちの4発を防空網で迎撃したと説明。メトゥラ、マルキア、マナルク各地区も複数の対戦車ミサイルで狙われたが、これらの発射場所に砲火を浴びせる対抗措置を講じたなどとつけ加えた。