アルゼンチン大統領選、決選投票へ 左派マッサ氏と極右ミレイ氏が対決
(CNN) 経済危機に見舞われる南米アルゼンチンで22日、大統領選挙の投開票が行われ、いずれの候補も当選に必要な得票率に届かず、来月決選投票が行われる見通しとなった。
選挙管理当局によると、左派セルヒオ・マッサ氏が887万7325票(得票率36.33%)でトップ、極右の自由主義者ハビエル・ミレイ氏が737万3876票(同30.18%)で2位だった。マッサ氏とミレイ氏が決選投票に進む。
得票率23.82%で3位だったパトリシア・ブルリッチ氏は22日夜、敗北を認めた。
投票前に記入済みの投票用紙を掲げるパトリシア・ブルリッチ氏=22日、アルゼンチン首都ブエノスアイレス/Gustavo Garello/AP
選管当局によると、投票総数は2500万票を超え、投票率は75%超、開票率は90%を超えた。
アルゼンチンではエリート層や国の運営に対する幻滅が広がっている。ロイター通信によれば、アルゼンチンのインフレ率は138%に上昇し、国民の生計を圧迫。過去20年間で最も深刻な経済危機にある。
投票後、記者会見に臨むセルヒオ・マッサ氏=22日、アルゼンチン首都ブエノスアイレス/Emiliano Lasalvia/AFP/Getty Images
首位となったマッサ氏は連立政権による支持の強さを示した。現在経済相を務め、インフレの抑制から主要輸出品目である大豆、国際通貨基金(IMF)との関係性までバランスをとった職務を担っている。
マッサ氏は自分を左派の中でも実用主義的な考え方の強い人物と位置付け、現在の政権と対比。有名なフェルナンデス副大統領とは距離を置きつつも、その支持基盤を遠ざけないように動いてきた。
投票前、支持者らに手を振るハビエル・ミレイ氏=22日、アルゼンチン首都ブエノスアイレス/Rodrigo Abd/AP
一方、対立候補となるミレイ氏は政治経験がほとんどない元金融アナリストで、自身を「無政府主義の資本主義者」と呼び、既存の経済構造をひっくり返すと約束する。
具体的には、自国通貨にドルを採用することや、公的補助金の大幅削減のほか、文化や教育、環境、女性や多様性などの省庁の廃止を掲げる。集会ではチェーンソーを振り回す姿も特徴的だ。
アルゼンチンの大統領選では得票率45%を超えるか、40%以上で2位に10ポイント以上の差をつけた候補がいない場合は決選投票に進む決まりとなっている。
次期大統領は12月に就任する。任期は4年。