亡命希望者をルワンダへ移送する英政府の計画、最高裁が違法と判断
ロンドン(CNN) 英最高裁は15日、亡命を求めて英国にたどり着いた人たちを東アフリカのルワンダに移送する英政府の計画について、違法だとする判断を下した。スナク首相が目玉に掲げる移民政策にとって致命的な打撃となる可能性がある。英政界の右派からは、判断に反発する怒りの声が噴出している。
最高裁は全会一致で政府の計画に異議を唱え、当該の政策を合法ではないとしていた控訴院の以前の判断を支持した。移送計画を巡っては、かねて複数の人権団体が厳しい非難を展開している。
最高裁の判断により、ルワンダから英国に不法入国した亡命希望者らを本国へ移送する取り組みは瓦解(がかい)する。移送計画は昨年4月に発表されたが、その後は法的問題に直面し、これまで一人の不法移民も送還できていない。
スナク首相は15日、ルワンダと正式な協定を結ぶ方針を表明したが、この動きもまた新たな法的精査の対象になるとみられる。このほか英議会に対し、「緊急法案」を提出する意向も示した。これが可決すれば議会は一方的にルワンダが安全な国だと宣言できる。
判事らはルワンダについて、安全な国とは認められず、亡命希望者を移送することはできないと判断。真の意味での難民が自ら逃れてきた国へ返されるリスクがある点を理由に挙げた。
判断を受け、与党・保守党の右派からは欧州人権条約からの脱退を求める声が上がった。政府内では過去数カ月間にわたり脱退の見通しが浮上。これにより保守党内の中道派と右派の間には深い亀裂が生じている。
スナク氏自身は脱退を支持しなかったものの、再検討後の政策が阻止されるならそうした動きも考慮する見解を示唆した。