イスラエル最高裁、最高裁の権限を制限する司法制度改革案は「無効」
(CNN) イスラエル最高裁は、昨年7月に可決された最高裁の権限を制限する司法制度改革法案を無効とする判決を下した。
最高裁は、8対7の票決により、いわゆる「合理性法」に対する政府の修正案を認めないとの裁定を下した。この改革案は、最高裁から政府の決定を「不合理」と判断する権限を奪うもので、司法の弱体化を図る政府の多面的取り組みの主要な第一歩だった。
最高裁は判決文の中で、「(政府の修正案は)イスラエルの民主国家としての中心的特性に重大かつ前例のない打撃を与えかねない」と述べた。
法案の可決を受け、イスラエルでは昨年、激しい論争が巻き起こったが、イスラム組織ハマスとの戦争勃発を受け、議論は脇に追いやられた。しかし今回の判決により、議論が再燃する可能性がある。またネタニヤフ首相と司法制度改革に反対する2人の閣僚を抱える内閣の分裂を引き起こす恐れもある。
政府の修正案は7月に議会で可決された後に施行された。批評家たちは、この改革は裁判所の独立性を侵害し、イスラエルの民主主義を損なうと主張。世論調査でも、国民の大半がこの改革に反対し、大規模な抗議行動に発展した。
また米国を含むイスラエルの同盟国もこの改革に対する懸念を表明した。バイデン米大統領は昨年7月、司法制度改革案が幅広い合意なしに可決されれば、米国とイスラエルの関係が危険にさらされると警告していた。
司法制度改革法案を作成したレビン法相は、今回の判決に対し、「今、最前線で戦っている兵士たちの勝利に必要な結束の精神に反するものだ」と批判。
一方、野党指導者のラピド氏は、「最高裁はイスラエル市民を守る役割を誠実に果たした」と述べ、判決を全面的に支持した。