生放送中のテレビ、武装した男らが乗っ取り エクアドル大統領が「国内の武力衝突」宣言
キト(CNN) 南米エクアドルで生放送中のテレビ番組が9日、武装した男らに妨害され、乗っ取られた。その直後、ノボア大統領は「国内の武力衝突」状態にあると宣言し、極度の暴力をまん延させているとして複数の犯罪組織の「無効化」を治安部隊に命じた。
襲われたのは最大都市グアヤキルを拠点とする国営TCテレビジョン。ソーシャルメディアの映像には、フードをかぶった男らがスタッフを床に伏せさせ、背景では銃声や叫び声がする様子が捉えられている。
国家警察は武装した男らを全員逮捕し、メディアの職員は退避させられたと発表した。警察関係者は13人を拘束したと明らかにし、この事件を「テロ行為」と呼んだ。
生放送中の番組が武装した男に妨害され、乗っ取られた/CNN
同国ではノボア大統領が8日、ギャングのリーダー、アドルフォ・マシアス(通称フィト)受刑者がグアヤキルの刑務所から脱獄したことを受け、全土で非常事態を宣言。その数時間後には複数の爆発、警官の拉致、刑務所内の騒乱が発生する事態となっている。
国家警察によると、ノボア氏の宣言後、3都市で少なくとも7人の警察官が拉致された。
非常事態宣言の翌日に首都キト中心部に展開する兵士=9日/Rodrigo Buendia/AFP/Getty Images
昨年、犯罪増加への対策を公約に大統領選の決選投票に勝利したノボア氏にとって、暴力が拡大する状況は新大統領として試練の場となる。
同国の治安状況は主にライバル関係にある犯罪組織によって悪化している。麻薬密輸ルートの確保を巡る争いから、路上や刑務所で残忍な暴力事件がしばしば公衆の目にも触れる形で発生している。