モディ氏、「聖なるインド」を歓迎 総選挙控えヒンドゥー教寺院の開設式
(CNN) インドで22日、巨大なヒンドゥー教寺院の開設式が行われ、全国の大勢の人がテレビで見守った。3選をめざす選挙を数カ月後に控えるモディ首相にとって、ヒンドゥー至上主義の野心の頂点を画す式典になったと見られている。
ヒンドゥー教のラーマ神にささげられた同寺院はインド北部アヨディヤに位置し、30年以上をかけて開設準備が進められてきた。モディ氏の選挙戦にとって大きな追い風になりそうだ。
寺院は「新生インド」を建設するというモディ氏の夢を実現したものになる。「新生インド」という言葉を巡っては、ヒンドゥー教色を鮮明にした国への転換を意味するとの見方が多い。
一方、モディ氏の批判者の目には、寺院開設はインド独立後の建国理念となってきた世俗主義のルーツから国を遠ざける数十年来の運動の帰結と映る。
モディ氏は映画俳優やクリケットのトップ選手、実業家を含む7000人の聴衆を前に演説を行い、「きょう我々のラーマ神が到来した。何世紀も待った末、我々はラーマの訪れの時を迎えた。幾世紀にわたる前例のない忍耐、無数の犠牲、断念、ざんげを経て、我々のラーマ神が到来した」と述べた。
「ラーマは争いではなく、解決策そのものだ」とも言い添えた。
22日の式典は、モディ氏やインド人民党(BJP)が2014年の政権獲得時に掲げた有権者への公約を果たしたものだ。
モディ氏や政界の支持者は長年、ヒンドゥー教強硬派による1992年の襲撃で破壊された16世紀のモスク(イスラム教礼拝所)の跡地に寺院を建設すると誓っていた。死者を出したこの襲撃により、インドのヒンドゥー至上主義運動は急加速した。
モスクの破壊はBJPなどの右翼組織がけしかけたもので、BJPはこれを機に一躍、主流政治に進出。4年後の総選挙で勝利を果たした。