ロシア、独空軍最高幹部の会話傍受か ウクライナへ兵器支援
(CNN) ロシア国営メディアがウクライナへのミサイル供給などの可能性を内密に話し合うドイツ空軍最高幹部の録音音声をオンライン上で流し、ショルツ独首相は「非常に深刻な問題」との危機感を表明し、調査する方針を2日明らかにした。
訪問先のローマで、調査は「非常に注意深く、集中的にかつ迅速に」進めると述べた。
独国防省の報道担当者はCNNの取材に、漏れた音声は本物と確認。「我々の分析では空軍内の会話が傍受された結果である」と結論づけた。SNS上で出回っている内容が録音あるいは文書化されたものに変更が加えられたものなのかは現時点で確信を持って言えないと補足した。
この録音音声を暴露したのはロシアの国営テレビ局「RT」の首脳。複数の独空軍最高幹部たちは自国製の長距離巡航ミサイル「タウルス」をウクライナへ供与する可能性について議論。このほか、ロシアが強制併合したウクライナ南部クリミア半島とロシア本土を結ぶケルチ橋をタウルスを用いた攻撃の潜在的な標的にすることにも触れていた。
ウクライナによるタウルスの利用方法も取り上げられていた。
ドイツはこれまで、タウルスがロシア領土への攻撃に投入されて戦火が拡大することを恐れてウクライナへの引き渡しを渋ってきた。今回漏洩(ろうえい)した録音音声では、幹部1人がケルチ橋は難しい標的であるが、タウルスが到達できる能力はあると発言していた。
ロシア外務省報道官は、この録音音声に関してドイツ側の説明を求めているとの立場を明らかにした。「迅速な対応を望んでいるとし、回答を拒む全ての試みは後ろめたさの表れとみなす」とも断じた。
今回の漏洩は独政界にも警戒心を引き起こしており、公共放送「ドイチェ・ベレ」によると、野党・キリスト教民主同盟(CDU)の議員は公共放送「ZDF」に「他の会話の多くもきっと傍受されただろう。後日になってリークされる可能性がある」と語った。