ハマスの人質になったイスラエル人女性、拘束中の性被害を語る 米紙報道
(CNN) イスラム組織ハマスによる昨年10月7日のイスラエル攻撃で人質になり、パレスチナ自治区ガザ地区で拘束されていたイスラエル人女性が、その間に受けた暴力や性被害を告白した。26日付の米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。
同紙によると、弁護士のアミット・スサナさんは、自宅で少なくとも10人の男たちに襲われ、殴られてガザ地区へ引きずり込まれた。その後55日間、民家や地下トンネルなどを転々とし、11月末に成立した人質とパレスチナ人囚人の交換で解放された。
スサナさんは8時間にわたる同紙とのインタビューで、ガザでの経験を詳細に語った。
当初は子ども部屋に1人で閉じ込められ、左足首を鎖でつながれた。「ムハンマド」と名乗る監視係が時々入ってきてベッドに並んで座り、スサナさんのシャツをめくって体に触れた。
生理はいつかと繰り返し聞かれた。スサナさんは監視係を遠ざけようと、10月18日ごろに生理が終わった後も1週間近く出血が続いているふりをした。
同24日ごろ、監視係が朝早く部屋に入ってきてスサナさんの鎖を外し、バスルームに入らせた。スサナさんが服を脱ぎ、バスタブで体を洗い始めた時、監視係が拳銃を持って入り口に現れた。
監視係はスサナさんに近づいて額に銃を突きつけ、殴りつけてタオルを外させた。スサナさんの体を触り、バスタブの端に座らせてさらに殴りつけたという。
ハマスに拉致された人質の家族が設立した団体「人質・行方不明者家族フォーラム」は声明で、スサナさんの「勇気ある証言」をたたえた。スサナさんや今も拘束されている人質全員が「英雄」だと述べ、「取り返しが付かなくなる前にこの勇者たちを帰還させなければ」と訴えた。
19歳の娘がハマスに連れ去られたという母親はスサナさんの証言について、「多くの人質が日々直面している悪夢と同じ。今この時も起きているかもしれない」「私たちの娘や家族を返して」と語った。
イスラエルのヘルツォグ大統領は同紙の報道を受け、26日にX(旧ツイッター)上で、スサナさんは「声を上げることのできないすべての人々、ハマスによる性犯罪と虐待の全被害者、あらゆる場所のすべての女性たち」を代弁しているとコメントした。
国連は今月、昨年10月7日の攻撃で強姦(ごうかん)などの性暴力が起きた可能性が高いとする報告書を発表。人質が強姦され、今も虐待を受けていることを示す確かな証拠があると指摘した。
ハマスの当局者は、CNNとのインタビューでこれを否定した。