ヘリ墜落で大統領死亡、今後の動きは イラン
(CNN) 中東イランの超保守派のライシ大統領(63)がヘリコプターの墜落事故によって死亡した。ライシ師はかつて最高指導者ハメネイ師(85)の後継者と目されていたが、ライシ師の死去により、イランの強硬派の体制は不透明な未来に直面することになった。
イラン北西部の山間部にヘリコプターが墜落し、ライシ師やアブドラヒアン外相、政府高官が死亡した。今回の墜落事故は、イランが国内外から前例のない困難に見舞われているなかで発生した。
イラン経済は米国による制裁によって停滞しているほか、若年層は政府に対する反発を強めている。イランは中東やその他の地域で、好戦的な姿勢を強める敵対国にも直面している。
ライシ師の後任には、ハメネイ師の承認を受けて、モフベル第1副大統領が暫定大統領として就任した。
英シンクタンク王立国際問題研究所(チャタムハウス)で中東・北アフリカ・プログラムのディレクターを務めるサナム・バキル氏によれば、モフベル暫定大統領はライシ師ほどの知名度はないものの、「もう一人の管理者」であり、精鋭部隊の革命防衛隊(IRGC)や権力の中枢にも近いという。バキル氏は、モフベル暫定大統領が数日中に「普段の日常」のモデルを提示する可能性が高いとの見通しを示した。
憲法の規定では50日以内に大統領選を実施する必要がある。専門家によれば、大統領選は急ごしらえで行われ、投票率も低くなるとみられる。イランで3月に実施された選挙では、政府が投票を呼び掛けたにもかかわらず、投票率が1979年の建国以来、過去最低の水準だった。
3月の選挙には、ロハニ前大統領などの穏健派の出馬が禁じられ、最高指導者の死後も保守的な支配を継続する小集団のまとまりがより強固なものとなった。
ライシ師が死亡しても、特に外交政策などはハメネイ師が最高指導者の立場を離れるまでは、ほとんど変化がないとみられている。