イスラエル極右閣僚2人、停戦案合意なら「連立政権を崩壊させる」
(CNN) イスラエルの極右派閣僚であるスモトリッチ財務相とベングビール国家安全保障相は、バイデン米大統領が明らかにしたパレスチナ自治区ガザ地区での戦闘終結に向けた和平案をネタニヤフ首相が受け入れれば辞任し、同首相が率いる連立政権を崩壊させると警告した。
バイデン氏は5月31日、イスラエル側が示した3段階からなる提案を発表した。同案は人質解放と「完全な停戦」を組み合わせたものだ。
バイデン氏はホワイトハウスでの演説で「この戦争を終わらせる時が来た」と述べ、イスラエルの戦闘での目標は達成されたとの考えを明確に示した。
しかし、スモトリッチ氏とベングビール氏は即時停戦を拒否すると明言した。ネタニヤフ首相も準備が整っていないことを示唆しており、バイデン氏の提案に疑問を投げかけている。
スモトリッヒ氏はSNSに投稿した声明で、ネタニヤフ氏に対し「提案された概要に同意し、ハマスを壊滅させ、人質全員を返還することなく戦闘を終わらせる政府の一員にはならない」と「明確に伝えた」と述べた。
スモトリッヒ氏は「ハマスを壊滅させ、人質全員を返還」し、「ガザとレバノンでまったく異なる安全保障を実現」するまで戦闘を続けるよう要求した。
一方、ベングビール氏はこの合意を「無謀」で「テロを勝利」させるものであり、イスラエルに安全保障上の危機をもたらすものであると批判した。
ベングビール氏は「もし首相が今日発表された条件の下で無謀な取引を実行すれば、それは戦闘を終結させ、ハマスの排除を断念することを意味し、オツマ・イェフディット(ユダヤの力)党は政府を解散するだろう」と述べた。オツマ・イェフディットは同氏が率いる極右政党で、ネタニヤフ氏の議会過半数の維持に一役買っている。
ネタニヤフ氏は戦時内閣内だけでなく、他からも圧力を受けている。抗議者らは1日、街頭で首相の辞任と早期選挙を要求した。
イスラエルの最大野党を率いるヤイル・ラピド氏は、ネタニヤフ氏が提案を受け入れるよう支援すると表明し、スモトリッチ氏とベングビール氏の発言は国家安全保障や人質を無視していると非難した。
「この政権はイスラエル史上最悪で最も無謀な政府だ。政権のために、この地では永遠に戦闘が続くだろう。責任能力も管理能力もゼロ、完全な失敗だ」(ラピド氏)
ネタニヤフ政権はガザでの紛争が9カ月目に近づく中、終結を求める国際的な声の高まりに直面している。