中国国防相の演説口調より厳しく、環境変化を反映か アジア安保会議
(CNN) シンガポールで先に開かれた「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」を主催した英国際戦略研究所(IISS)の関係者は、初参加の中国の董軍国防相の演説スタイルなどに触れ、過去に演壇に立った中国の国防首脳に比べ、声音が「よりかん高かった印象」を持ったとの見方をこのほど示した。
IISSジャパンチェアを務めているロバート・ウォード氏がCNNの取材に述べた。アジアにおける戦略的環境はより緊迫度を増しており、「董氏の口調の激しさもこのことの反映と考えている」とした。「昨年(の演説の場合)と比べ言葉づかいがはるかに厳しかった」とも述べた。
中国海軍司令官だった董氏は昨年後半に国防相に就任した。IISSジャパンチェアは日本の外交・安全保障政策を研究するポストとなっている。
一方、米政府高官は董軍国防相の今回の演説内容に触れ、「過去3年間、中国の新たな国防相がシャングリラに顔を見せている」と指摘。その上で「毎年、中国軍がアジア地域で威圧的な行動を起こしている現実とは全く相いれない演説をしている」とし、「今年もそうだった」と突き放した。
董氏はアジア安全保障会議の演説や質疑応答で台湾問題や南シナ海情勢に触れ、中国の立場をあくまで正当化する主張に終始したとされる。南シナ海スプラトリー(南沙)諸島の領有権論争では対立が最近先鋭化するフィリピンの対応を念頭に、「自制にも限界がある」と発言してもいた。
フィリピンの国名には直接触れなかったが、外部勢力に「励まされた」特定の国が挑発行為をしているとも断じていた。フィリピンで今年4月、米比合同軍事演習が開催され、米国製のミサイルが持ち込まれたことを暗に批判しているともみられる。