ルペン氏の秘蔵っ子、ジョルダン・バルデラ氏 仏極右勢力の新たな顔に

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欧州議会選で勝利した仏RNのジョルダン・バルデラ党首(左)とマリーヌ・ルペン氏/Christian Hartmann/Reuters via CNN Newsource

欧州議会選で勝利した仏RNのジョルダン・バルデラ党首(左)とマリーヌ・ルペン氏/Christian Hartmann/Reuters via CNN Newsource

パリ(CNN) 28歳の若さで、ジョルダン・バルデラ氏はフランスの極右政党を欧州議会選での地滑り的勝利に導き、マクロン大統領の陣営に屈辱を与えた。解散総選挙の前倒しに踏み切ったマクロン氏の賭けが裏目に出れば、バルデラ氏が次期首相の座を狙う立場になる。

仏極右勢力の重鎮、マリーヌ・ルペン氏の秘蔵っ子で政党「国民連合(RN)」 の党首を務めるバルデラ氏は、パリの北東にある労働者階級が暮らす地域で育った。16歳でRNの前身に入党。名門ソルボンヌ大学に短期間在籍した後で退学した。

今年4月には国営放送フランス2のインタビューに答え、上記の地域に住む多くの家庭と同様、暴力が身近な環境で育ったと説明。母親は家計のやりくりに苦労していたと振り返った。また政界に進んだのは切迫感に駆られてのことだったとし、現在に至るまでその感覚は失われていないと語った。

ルペン氏は2022年にバルデラ氏をRNの党首に抜擢(ばってき)。父の代から50年続いた党の支配に終止符を打った。

バルデラ氏は党から反ユダヤ主義的及び人種差別的な印象を払拭(ふっしょく)する努力を続けているが、従来のポピュリスト的言説にはほとんど変化が見られない。

公約に関する過去の発言では「国家安全保障に脅威を与える義務不履行者、犯罪者、外国のイスラム教徒の追放を実行する」と主張。移民の自由な移動に対する制限や、大規模な国外追放を行う意向を示唆した。

バルデラ氏の人気は、かつて仏政界の周縁にいた勢力が今や標準的な政党と見なされ、主流派の中に食い込んだことを証明する。極右への投票は、もはやフランス国内の大半において恥ずべき行動ではない。バルデラ氏は労働者階級や失業者、地方の若年層から支持を集めている。

9日に投開票された欧州議会選では、18~34歳の有権者の32%がバルデラ氏に投票。これに対しマクロン氏率いる与党連合の候補者の得票率は5%だった。調査会社ELABEがBFMTVの委託で行った世論調査で明らかになった。

バルデラ氏を巡っては、経歴や具体的な経験に乏しいとの批判の声も出ている。19年に初めて欧州議員に選出されたが、同議会への欠席の多さも指摘されている。

ルペン氏とバルデラ氏は固い信頼で結びついている。バルデラ氏は自身をルペン氏の「第一の支持者」と位置づけ、ルペン氏もバルデラ氏に対する強い尊敬の念を表明。政治家としての成長を評価している。

55歳のルペン氏は12年以降、3度にわたって大統領選に出馬。直近の2回は決選投票に持ち込んだ。27年に行われる次の大統領選にも立候補するというのが大方の見方だ。

若いバルデラ氏による欧州議会選での成功を受け、大統領選に向けたルペン氏の取り組みにも弾みが付くとみられる。

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