イスラエルから釈放のガザ病院長、収監中の「拷問」語る

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イスラエルの刑務所から釈放後、会見するシファ病院のサルミヤ院長(中央)/Mohammed Salem/Reuters via CNN Newsource

イスラエルの刑務所から釈放後、会見するシファ病院のサルミヤ院長(中央)/Mohammed Salem/Reuters via CNN Newsource

(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区最大の医療施設、ガザ市にあるシファ病院のサルミヤ院長が、イスラエルで7カ月にわたり収監され、1日に釈放された。同日の記者会見で、収監中に受けた「ひどい拷問」を振り返った。

サルミヤ氏は昨年11月末、イスラエル軍がシファ病院を攻撃した際、ほかのパレスチナ人50人とともに拘束されていた。

突然釈放された後の記者会見では、収監中の経験について「片手の小指を骨折し、頭を繰り返し殴られて何度も出血した。ほぼ毎日、拷問があった」「拘束された人々を医師や看護師が殴る。これはあらゆる国際法に違反する行為だ」と語った。

仲間たちも体重が大きく減り、治療を全く受けさせてもらえなかった。数人が糖尿病を放置され、重症化して足の切断を強いられたという。

イスラエルの刑務当局は1日、CNNの取材に対して「そのような説は把握していない」「受刑者は全員、法に基づいて拘束され、専門の訓練を受けた看守によってあらゆる基本的人権を保障されている」と述べた。

サルミヤ氏は当時、世界保健機関(WHO)の車列とともに病院から退避しようとしていたところを拘束された。イスラエル軍は、シファ病院がイスラム組織ハマスの司令本部になっていることを示す証拠があり、尋問のために同氏らを逮捕、移送したと発表していた。

シファ病院はその後再びイスラエル軍の攻撃を受けた。3月に2週間占拠され、今はがれきの山と化している。イスラエルは、病院の施設が人質の拘束に使われているとも主張したが、ハマスや病院関係者らはこれを否定してきた。

同氏とともに釈放されたほかのパレスチナ人たちも1日、定員をオーバーした収容施設での虐待や病気のまん延、食料不足を振り返った。

「朝から晩まで殴られ、隔離され、感染症が広がっていた」と話す人もいる。親族の遺体、家族や子どもたちの写真を見せられて「子どもは殺した」「妻や姉妹をつかまえてこんなことをした」などと聞かされた。

それぞれ収監されていた理由などは不明。CNNがインタビューした人々は、ガザの検問所で質問を受けた後、拘束されたと話した。

パレスチナ人の釈放は、イスラエル側の内部で物議を醸した。

イスラエルの情報機関「シンベト」は声明で、大きな脅威ではないと判断された対象者が、「テロリストたちの逮捕」に備え、収容施設の「スペースをあける」ために釈放されたと説明した。

これに対して、ベングビール国家安全保障相やガンツ前国防相は強い不満を示した。ガンツ氏は「釈放を決めた者は判断力に欠ける。即刻解任するべきだ」と主張した。

また、ハマスに拘束された人質の家族団体「人質・行方不明者家族フォーラム」は1日の声明で、家族の解放に向け、イスラエル政府が病院長を釈放したのと同様の決意を示すことを期待すると述べた。

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